この記事は2021年に公開しましたが、2026年現在のイタリア語学習状況に合わせて最新の内容にアップデートしました。
イタリア語を学び始めて最初にぶつかる壁、それが「冠詞」です。
「男性名詞・女性名詞があるだけでも大変なのに、単数・複数や、名詞の最初の文字で形が変わるなんて……」と、迷ったことはありませんか?
この記事では、イタリア語の定冠詞と不定冠詞の違いと使い分けを、初心者の方でもスッキリ理解できるように整理して解説します。
Table of Contents
定冠詞と不定冠詞:使い分けの基本ルール
まずは「いつ、どちらを使うべきか」という根本的な違いを押さえましょう。
定冠詞(il / la など)
「その」「例の」と訳せるような、特定のものを指します。
- 既出のもの: すでに会話に出てきたもの
- 周知のもの: 話し手と聞き手の両方が「あぁ、あれね」と分かっているもの
- 唯一のもの: 太陽、月、法王など、世界に一つしかないもの
例文
In cortile c’è il cane.(中庭に〔例の/私の〕犬がいる)
すでに話題に上がっている「あの犬」を指します。
不定冠詞(un / una など)
「ある」「ひとつの」と訳せる、不特定のものを指します。
- 初出のもの: 会話で初めて登場するもの
- 一般的なもの: 特にどれと決まっていない、ありふれたもの
- 未知のもの: 聞き手がまだ知らないもの
例文
In cortile c’è un cane.(中庭に〔一匹の/知らない〕犬がいる)
初めてその犬を見つけた時や、特に誰の犬か特定しない時に使います。
【保存版】冠詞の形式一覧表
イタリア語の冠詞は、「性別(男/女)」「数(単数/複数)」「名詞の語頭の音」の3つの要素で決まります。
| 性別 | 語頭の音 | 定冠詞(単) | 定冠詞(複) | 不定冠詞(単) |
|---|---|---|---|---|
| 男性形 | 子音 | il | i | un |
| 男性形 | 母音 | l’ | gli | un |
| 男性形 | 特殊な音※ | lo | gli | uno |
| 女性形 | 子音 | la | le | una |
| 女性形 | 母音 | l’ | le | un’ |
※特殊な音とは:
z, s + 子音, x, y, ps, gn, pn などで始まる単語です。
(例: lo studente, uno zaino)
※スマホ、タブレットで閲覧の方は、上の表組部分を指で横に動かすと表示します。
定冠詞のバリエーションと注意点
男性名詞の場合
基本は il ですが、音の響き(発音のしやすさ)によって変化します。
- 通常の子音: il treno → i treni
- 特殊な音: lo sport → gli sport / lo zaino → gli zaini
- 母音: l’amico → gli amici
通常、子音から始まる男性名詞の定冠詞は、単数形はil, 複数形はi
それ以外の特殊な音、z, s + 子音, x, y, ps, gn, pnで始まる男性名詞の定冠詞は、単数形はlo, 複数形はgli
例えば
s + 子音: lo studente, gli studenti, lo sport, gli sport
z: lo zaino, gli zaini
ps: lo psicologo, gli psicologi
y: lo yogurt, gli yogurt
母音から始まる男性名詞の場合は、単数形lo → l’ 複数形gli
lo amico → l amico → l‘amico, gli amicio
l’italiano, gli italiani
母音で始まる男性名詞の場合は、定冠詞「lo」のoを消してアポストロフィをつける。
ちなみに、lo の母音が消えて l’ と合体することをイタリア語で(elisione エリジオーネ)と言います。母音省略を指す言葉です。
女性名詞の場合
女性名詞は比較的シンプルです。
- 子音: la donna → le donne
- 母音: l’amica → le amiche
女性名詞の定冠詞は、単数形はla, 複数形はle
la donna, le donne
la persone, le personi
la ragazza, le ragazze
母音で始まる女性名詞の場合は、単数形la → l’ 複数形le
la amica → l amica → l‘amica, le amichea
l’italiana, le italiane
l’ora, le ore
母音で始まる女性名詞の場合は、定冠詞「la」の母音aを消してアポストロフィをつける。
家族を表す名詞(madre, padreなど)に「私の〜」などの所有格がつく場合、冠詞のルールが少し特殊になります。
不定冠詞のバリエーション
男性名詞の場合
基本的に多くの男性名詞は不定冠詞unを使います。
- 基本: un
- 特殊な音:uno
un suono, un amico, un albergo
z, s + 子音, x, y, ps, gn, pnで始まる特殊な音の男性名詞には、不定冠詞unoを使います。
例えば
s + 子音: uno studente, uno sport
z: uno zaino
ps: uno psicologo
y: uno yogurt
女性名詞の場合
女性名詞は、子音と母音だけです。
- 子音: una
- 母音:un’
子音の場合は、女性名詞の不定冠詞は、una
una madre, una pensione
母音で始まる女性名詞の不定冠詞は、un’
una italiana → un italiana → un‘italianaa
un’ora
母音で始まる女性名詞の場合は、不定冠詞「una」のaを消してアポストロフィをつける。
イタリア語の定冠詞と不定冠詞の使い方
冒頭で伝えた、定冠詞と不定冠詞の使い分けの基本ルールを踏まえておさらいしよう。
定冠詞は、特定のものを指す
人や唯一のもの
La luna è gialla. (月は、黄色いです。)
月は唯一のもので、女性名詞だから定冠詞 La
Il papa vive a Roma. (ローマ法王は、ローマに住んでいる。)
Il papaといえば、法王のこと
種類やカテゴリーが完全なもの
Il leone vive in Africa. (ライオンは、アフリカに生存する。)
I soldati portano la divisa. (兵士たちは、制服を着ている。)
不定冠詞は、不特定なものを指す
人や動物、ありふれたもの
Prendi una matita e scrivi. (ペンを利用して書いてください。)
Andiamo in un bar. (バーに行こう。)
una matitaやun barは、ここでは、ありふれたものを指している。
人や動物、明確にしたくないこと
Mi ha telefonato un amico. (ある友達が私に電話をした。=友達から電話があった。)
Ho comprato un libro di fantascienza. (私は、あるサイエンスフィクションの本を買った。)
un amicoやun libroは、ここでは、明確にしたくない、もしくは特定のものでないことを示している。
知っていると得する!冠詞の応用テクニック
以下の2つを知っているだけでも、イタリア語が活用できます。
① 話の流れで「不定冠詞 → 定冠詞」へ
初めて話題に出すときは un(a)、2回目以降は il/la に変えるのが自然な流れです。
Sono andato a una festa. La festa è stata divertente.
(あるパーティーに行きました。そのパーティーは楽しかったです。)
② 習慣や「毎〜」を表す定冠詞
曜日の前に定冠詞をつけると、「毎週〜」という習慣を表すことができます。
Il sabato sera vado in discoteca. (= ogni sabato sera) (毎週土曜の夜に私はディスコに行きます。)
定冠詞をつけない場合は、Sabato vado in discoteca. (= 今度の土曜日は〜)ということになるよ。
⚠️注意!曜日の複数形
- 月〜金:無変化(il lunedì → i lunedì)
- 土・日:変化あり(il sabato → i sabati / la domenica → le domeniche)
il lunedì = tutti i lunedì = ogni lunedì
il sabato = tutti i sabati = ogni sabato
la domenica = tutte le domeniche = ogni domenica
lunedì = questo lunedì (un lunedì, non tutti i lunedì)
la mattina = ogni mattina = tutte le mattina
il pomeriggio = ogni pomeriggio = tutti i pomeriggio
la sera = ogni sera = tutte le sera
la notte = ogni notte = tutte le notti
まとめ:迷ったらここをチェック!
- 初めて出す話題? → 不定冠詞 (un / una)
- 相手も知っているもの? → 定冠詞 (il / la)
- 名詞の最初の文字は何? → 表を見て形を選択!
イタリア語の冠詞は、理屈で覚えたらあとは「音」で慣れるのが近道です。何度も口に出して、自然なリズムを身につけましょう。
イタリア語の冠詞には、名字と一緒に使う際、特有のルールがあります。
編集後記
😊今回の解説の参考にしている一冊
イタリア語を勉強していて「あれ?この冠詞どうだっけ?」と迷ったとき、私がいつも手元に置いているのが『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』です。
分からない単語をサッと調べるのにちょうどいいサイズ感で、5年経った今でも現役です。ネットの情報で迷う時間を、これ一冊でショートカットしています。

Foto di Mahesh Patel da Pixabay







